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バイクのお部屋 その五♪
ツインリンクもてぎ
『1day GET MFJ Licence』
参加レポート
2001年 5月3日(木)
午前5時。相棒のCBR929RRと俺の身体に、容赦なく雨が叩き付けてくる。
今回はとうとうライセンスの取得にチャレンジ。先導無しで自由にサーキットを走りたい、という想いからだ。
二輪のライセンスには二つに大きく分けられる。
@サーキットライセンス…サーキットを走るためのライセンス。
コレがないとフリー走行やそのサーキットでのレースに
出場する事が出来ない。
A競技ライセンス…レースを運営している団体が発行している。
競技に出るために必要なライセンス。
『国際A級』とか聞き覚えがあるだろうが、それが
この競技ライセンスである。
全日本選手権を運営している『MFJ』という団体が発行している
ライセンスが一般的。
ちなみに、現在ロードレースでは『国際A級』というライセンスは無く、
基本的にジュニア、フレッシュマン、国内、国際、
の四種類になっている。
要するに、両方持っていないとレースには参加出来ない訳だ。例えば、鈴鹿8耐に出場する為には、鈴鹿サーキットライセンスと国際ライセンスが必要だったりする。
ツインリンクもてぎライセンスとMFJ国内ライセンスを1日で取得できるカリキュラムがあり、本日はそれに参加。これでツインリンクもてぎで開催されるエリア選手権以下のレースに出場出来る事になる。とは言え、本気のレースをやるには、かなりの資金と時間を必要とするので、出場するにしても主にサンデーレース(純粋に楽しむ為のレース。イベントレースとも言われている)になるだろう。
もてぎにも7時間耐久ロードレース、いわゆる『もて耐』というレースが年1回夏に開催される。俳優の岩城さん(ライダーで)や、TUBEのドラマーの松本さん(監督として)なども毎年参加している。このレースはもてぎライセンスと国内ライセンスで参加出来るのだ。これに来年とか出場出来たら最高なんだけどなぁ・・。
というわけで、ツインリンクもてぎへ向かっているのだが、あいにくの雨。前回の走行会と今回・・ちょっと雨男の様相を呈してきた。(苦笑)それでも前回雨は止んだ。今回もそうなって欲しいと願いながら常磐道をひた走る。
そんなこんなで、ツインリンクもてぎに到着。受付を済ませ、午前中は座学になる。ルールや走行のポイントの説明だ。講師はレース雑誌でライディング理論のページを受け持っている神谷忠さん。丁寧に分かり易く、各項目を説明していただいた。
そして昼食を挟んで、午後はいよいよ実技走行だ。心配していた雨はすっかり上がり、路面は乾いている。最高です。
各クラスにトップライダーの講師がつく。世界GP125cc元チャンピオンの坂田和人選手を始め、講師陣はもの凄く豪華。これを目当てに来ている人もいるだろう。勿論俺もその中の一人。(笑)
俺のクラスの講師は加藤直樹選手。全日本125ccクラスに参戦中で、昨年はランキング4位。先日鈴鹿で行われた世界GPにもスポット参戦しているトップライダーだ。以前筑波サーキットで全日本を観戦したとき、いい走りをしていたのを覚えている。
講師の加藤選手を先頭にして一列縦隊、30分間の走行が始まる。
俺は加藤選手の直後に付く。上手く走るポイントを覚えるには最高の位置。去年の走行会で得たコツだ。
さすが全日本ランカー、思い切り押さえて走っているのだろうが、スムーズで鋭い。バイクを倒し込んだと思ったら、一瞬で向きが変わっている。
どうやったらこういう風に走れるのだろうか・・。つーか、こういう風に走れるようになりたい。『安全に速く』俺の理想像だ。
30分間の走行が終わり、インターバル。この後は30分間×2のフリー走行だ。いよいよサーキットを自由に走れる。
走行開始時間が近づき、ゲートに2列で整列する。
エンジンを切って、深呼吸をした。それでも俺の心拍数が下がることは無く、
むしろ上がってるっぽい。
走行開始1分前。フィニッシュラインの掲示板が59sec、58sec・・とカウントダウンを始める。これが俺の緊張を更に煽る。
掲示板が0secを表示し、シグナルが赤から青に変わる。マーシャル(係員)の誘導で、2人ずつスタートしていく。自分の前のライダーがコースインした。そして今度は自分の番だ。
俺の目の前にイエローフラッグが出される。コレが上に上がるとスタートになる。「落ち着いて、ツーリング気分で・・」と自分自身に言い聞かせる。
フラッグが上がった。アクセルを開けて、クラッチミートする。初めて自分の前に誰も居ない状態でコースインした。1コーナー、2コーナー、ストレート、3コーナー、4コーナーと右に寄ってスロー走行。コースインのルールだ。
「ツーリング気分で〜」と呟きながら4コーナーを立ち上がる。アクセルを全開。マシンは猛然と加速していく。スピードメーターを見ると『180km/h』を表示していた。更に加速していき、右直角の5コーナーに近づく。もう「ツーリング気分」などかけらもない。(笑)
恐らく200km/hぐらいは出ているだろう。そこからのフルブレーキングは未知の領域だ。150mかそこらで200km/hから80km/hまで減速するのである。公道では考えられない状態だ。150mの看板付近が本来ブレーキングポイントだが、安全を期して更にその手前でブレーキング開始。
レバーを握り込む。強烈な減速Gで視界が溶ける。無重力感覚の中、リアタイヤは左右に暴れ、フロントタイヤは縦に跳ねる。
「ぬおおおおおっ!!! なんじゃこりゃ〜!!!!」
思わず歓喜(?)の声を上げる俺。気分はすっかりGPライダー。でも、コーナーは余り倒し込まずに、ゆっくり走る。ヘタレ決定。(笑)
バイクの性能をフル活用(実際はできてないけど)した加減速を、コーナーを抜ける度に繰り返しながら走り続ける。タイヤが暖まってグリップが良くなるまでは、コーナーは慎重に走る。
タイヤのグリップを確かめながら、少しづつバンク角を増やしていく。
だが、相変わらずブレーキング時のマシンの暴れと無重力感は直らない。このままじゃブレーキングポイントを奥に取るなんて、とてもじゃないが出来ない。
「まてよ・・?」
少し冷静になって、ブレーキング時の自分の状態をチェックしてみる。やっぱりだ。ハンドルにしがみついている。これじゃマトモなブレーキングは無理。つーか危ない。腕じゃなく、腰で減速Gを受け止めてみる。無重力感は無くなった。今までは腕で減速Gを受け止めていた為に、リアタイヤが浮いていたのだろう。
だがしかし、フロントタイヤの跳ねは相変わらず収まらない。何が悪いのか解らない・・・。そんな時に走行終了のチェッカーフラッグ。
ピットに戻り、講師の加藤選手に指南を仰ぐ。すると隣にいた沼田選手が(全日本250cc元チャンピオン)色々とマシンセッティングの方向性を教えてくれた。沼田選手はブレーキングがもの凄く上手いライダーである。これは有り難い。
俺のマシンを加藤選手と沼田選手が囲んでセッティングをチェック。すると、
「??」
沼田選手が言っていた方向性に既になっている。やはり俺がヘタレなだけなのか?
そのやりとりを聞きつけて、他の講師陣も集まってきた。うお、豪華な顔ぶれを独り占め。いいのか?
座学を担当していた神谷忠さんが「タイヤの空気圧じゃないのかなぁ?」と呟く。その瞬間、講師陣の皆さん「ああ・・・成る程」。
街乗り用のバイクは、二人乗りや荷物を積む事を考慮して空気圧の設定が高くなっているのだ。サーキット走行では、その激しい走りの為、タイヤ内の空気温度がとても高くなる。空気というモノは、温度が上がると膨張する。街乗り設定のままだと、空気圧が高くなり過ぎてタイヤがパンパンになり、跳ねやすくなるのだ。
目からウロコだった。そんなのは、今まで雑誌などでは読んだ事がない。つーか書いて無い。さて、空気圧を落とせば問題解消だ。神谷さんが言う。「エアゲージ持ってきてる?」「ありません」と俺。エアゲージが無いと、正確な空気圧に出来ない。
他の参加者も持ってきて無いようで、残念ながら、効果の程は次回に持ち越しとなってしまった。なので、2本目のフリー走行では押さえ気味で走るしかない。ま、原因がハッキリしただけでも収穫は大きい。
2本目では、ブレーキングよりもコーナリングのペースを上げる事に没頭した。高速コーナーの130Rが迫力タップリで大好きだ。去年の走行会では140km/hがせいぜいだったが、今回は自分のペース。160km/hで曲がっていく。だが、まだバンク角に余裕がある。まだいけそうだが、少しずつ、ね。
バックストレートでは250km/hをマーク。600m足らずでこの速度に達する事が出来る今の市販バイクの性能に驚く。
ブレーキング時の状態を沼田選手が併走して見てくれた場面もあり、嬉しかった。すぐにもの凄いスピードで見えなくなっていったけど。(笑)
その後も何人かの講師陣に抜かれたが、参加者の俺達とは次元が全く違う。抜いていったと思ったら、2つ3つのコーナーでもう見えなくなってしまうのだ。こっちは900ccの限りなくレーシングマシンに近いバイク、あっちは教習所や試験場でも使われている750ccの一般バイク(CB750)なのに。恐らくそれでも、彼らは流して走ってる状態なのだろうが。
公道をイキがって走っていた時に「俺は速い。上手い」と思っていたのは大きな勘違いだと言う事に気が付いた。非常に恥ずかしい事である。もう、サーキットを走りながら赤面する程に。又、公道で無茶をする事の危険性に、この時気が付き始めた。これからは公道での走りが変わりそうな気がした。
そんなこんなで大きなトラブルも無く、全ての走行が終了。
帰り道は模範的な安全運転ライダーだった。(笑)

今回唯一のショット。師匠の加藤直樹選手と
少年時代、GPライダーへの夢を馳せた。
その途方もない夢はいつしか消え、現実を生きた。
そして、夢は形を変え、現実となって戻って来る。
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